こどもアトリエニョッキの使い方②

 

個人レッスン中心のアトリエ ニョッキですが、少人数のワークショップの開催が発表されました。集団制作のクラスでもなければ、志望校対策クラスでもなく、もちろん個人レッスンでもない。アトリエ ニョッキで、なぜワークショップなのか? ミサミサ先生の思惑を伺いました。

 

 

 

アートに間違いはない。アートにゴールもない

 

1回限りOK!お試し受講ができるワークショップ

 

● どんな子供にも必要な能力とは?

 

● アートに間違いはない。アートにゴールもない。

 

 

 アトリエ ニョッキでワークショップを計画中とのことですが、通常の11のレッスンではなくて、複数の生徒を相手にした授業を開始されると考えていいのでしょうか?

 

 

「ワークショップをしたいなと考えているんですよ。人数は4人くらいまでの。

 

入口は(普段の個人レッスンを受けていないお子様にも)みんなに(広げたい)。自由に参加していただきたいので、あくまでワークショップです。授業にしちゃうと・・・。」

 

― ワークショップと授業の違いって何でしょうか?

 

 

「ワークショップでは、一方的に教えるのではなくて、(みんなと)喋りたいんですよ。意見を交わしたくて。

 

 毎回テーマがあるので、先生が生徒に教えて、生徒が先生の話をじっとして聞いている学校の授業のようなものではなく、研究室のようなイメージですね。一方的に教えるのではなくて、その時にとなりあったメンバーと喋りたい。対話をして生まれる化学反応(のような変化)を楽しみたいんですよ。

今の子は、自分で作らなくても、既製のものがなんでもあるじゃないですか。でも、あえて(ワークショップでは)自分で考えて手を動かして作業をすることで、あらかじめ用意された完成品からは予想のできなかった想像力や創造力を生み出したいと思うんです。」

 

 

― 試行錯誤する研究室なんですね。上手に絵が描けるようになるテクニックを増やすものが授業だとしたら、ワークショップは発想力を高めるものというイメージでしょうか。

 

絵に自信がある子や、ある程度上手になった子たちがステップアップするプログラムになるのですか?

 

 

「ちがう、ちがう、ちがう~(笑)。

 

 

 

絵が好きな子にスキルアップしてほしいだけじゃなくて、むしろ美術とか絵を描くことがよくわかっていない子にも来てほしいの。発見する楽しさがあるじゃない? 何が出てくるかわからないところが大切だと思うから。こう来たか!?っていうのが、楽しいんですよ!

 

 

 

私は自分で絵がうまいと思ったことはないの。(絵に)自信があったかといえばない。でも、表現することが好きだったことは確かなんです。踊ったり、作ったり、だれかとおしゃべりしたり・・・

 

大人になって美術をやってみて実感したのは、美術は自分の中にあるものだから、うまく書こうとか、人から評価されようとか思ってしまうと、それが理由で描けなくなってしまうということ。

 

(うまく見られたい意識から)開放してあげると書けるようになるんですよね。」

 

 解放

 

「(絵が苦手と言っている大人でも)子供の頃なら少しは描いていたんじゃないかなと思うんですよ。でも小学校を経て、(勉強する教科としての)図画工作、美術(の授業)を経るとたいていの人は絵を描かなくなってしまう。そういう人は展覧会にもいかなくなってしまう。

 

せっかく学校で美術の授業があるのに、授業が仇となって、自分の生活と美術とかデザインとかが、関係のないもの、特殊なものに自らしちゃうんですよね。もったいない。」

なってしまう。そういう人は展覧会にもいかなくなってしまう。

 

 

― 教科として成績を付けられてしまうから、良い成績を得るために上手に描こうとしたり、逆に成績が良くないと劣等感が強くなったり。確かに経験があります。

 

なるほど、第三者の目を気にする心から開放されると、絵を描くことや工作が楽しくなりそうですね。

 

「アートには間違いはないし、上手い下手も、ゴールもないですからね。

 

ラスコーの壁画じゃないんだけど、美術は本来特別なものではなくて、日々の暮らしの中に根付いているもの。

 

日常の風景の中には(アートやデザインといった)美がいっぱいあって、普段の生活の中から美を見つけて(心を)豊かにするセンスを、子供たちには身に着けてほしいと思っているんですよ。 

 

美大に合格できるようなセンスを磨けと言うのではなくて、身近な美に気づいて生活を豊かにするセンス。地球はデザインであふれているって発見できるセンスが芽生える種を、(子供たちの心の)どこかに置いてあげたくて。

 

  

 

(ワークショップでは)いろいろな実験をして、対等に意見を交わして、(アートを)研究するような、そういう関わりを持ちたいんですよ。

だから、絵を描く、工作をするということに普段は興味がないというお子様とも、話しあって、内側にある何かをひきだしてみたいな~と思うんですよね。」

 

 

 

● 1回限りOK!お試しができるワークショップ

 

 

― あらかじめ内容を選んで受講ができるというのも、ワークショップの大きな特徴ですね。

 

 

種類のワークショップがあって、その中に好きなテーマ、興味の湧いてきそうなテーマがあれば(参加可能です)。(個人レッスンのような継続性はなく)予約もその都度お申込みいただくので、年間を通して1回だけの受講も可能だし、逆に1日に2つのワークショップを続けて受講することもできる。

 

 

 

(ニョッキクラスや小学校受験クラスの)クラスに入っていないお子様でも参加していただけるので、入会を迷っていらっしゃる方は体験のつもりで参加していただいてもいいし、(受講回数は)自由ですよ。」

 

 

 

― 1回だけでも

 

 

「もちろん!1回だけでもOKですよ。

 

参加してみようかなというテーマがあれば、回数は何回だっていいんです。

 

 

 

ただ、クリエイティブニョッキだけは、対象が小学生だから2回で1テーマとしています。

 

小学生になると、1つのテーマについて深く考える集中力もあるので、思考する時間を十分に取りたいし、急かさずに製作してほしいから。1回目でテーマに触れることで、2回目までの期間の中で、どんな風に考えて、どんな風にイメージが変化して、膨らんでいくのかを見るのも楽しみなんですよね。

 

 

 

でも、必ず2回参加というわけではなくて、イメージがパッと決められるタイプの子は1回だけで終わっても良いものは作れるし、じっくり考えてみたい子はたっぷり2回かけて作ってほしいし。

 

本当に自由なので、気負わずに参加してください。」

 

 

 

 

ー 初めてのお子さまがお試し受講する場合の、おすすめはありますか

 

 

 

「興味のあるテーマに参加していただくのが、いちばんのおすすめですが、小さなお子様におすすめするなら、最初はこよみニョッキから。日本には1月~12月、毎月行事があるじゃないですか。

 

 

1月はお正月のふくわらい、いろいろな表情を研究しましょう。2月は節分を研究して鬼のお面、出来上がったものはお家で使ってね。3月はひな祭りなので、様々なスタイルの人形を作りましょう。ちゃんと人間の形になるように考えましょうね。

 

 

 

こういう風に(テーマという)一つの入り口を提供して、そこから発想が放射線状に広がるようにしていこうというこだわりがあるので、あえてレシピは作りません。そういう感じで一年間やってみようかと。

 

年中行事なのでご家庭でもなさっているとは思うんですが、アトリエでみんなと調べよう、自分でやってみようと思っていると、最後まで話を聞く力が育ちます。そして、創っている過程で巧緻性や教養がいつの間にか自然に身についていく。

 

 

 

私立の小学校が求めているのは、そういうご家庭(の環境)だと思います。

 

(小学校受験をする際にも)後から輪ゴム(輪つなぎ)ばかり、ホッチキスばかりを(巧緻性を高めるために集中して)やるのはかわいそうですよね。」

 

● どんな子供にも必要な能力とは?

 

 

 

 受験の話が出ましたが、ワークショップは小学校受験の対策にも役に立つのでしょうか?

 

 

「巧緻性、人の話を聞く力、協力する力、自分の意見を言う力。小学校受験での絵画制作の内容は、私立公立、すべての小学生に必要です。 だから世界中のどんなお子さまでも大歓迎ですよ。

 

 

 

大きな幼児教室でのメリットの一つは、集団教育の練習になるところ。私立小学校のお試験では、個人の力だけでなく、集団に適応できるのかを見ていますし、(どの学校に通う小学生でも)先生が『ここを見て』と言ったらパッと手をとめて見る・聞く能力は求められている。

 

 

 

大人数の中にいたときに集中できるかどうか。普段の個人レッスンではそういうところを練習するのは難しいんですよ。

 

 

 

(アートが)苦手な子もいれば得意な子もいるんですが、ワークショップで対話したり、研究したりして、(集団に対して)前向きな気持ちになればいいなと思っています。」

 

 

 

 上手い下手にとらわれずに、まずはワークショップを楽しめば、結果は後からついてくるのかもしれませんね。

 

 

「そうそう(笑)。

 

 

 

楽器って言ったら何があるかな?どうして音が出るのかな? アイデアを膨らます、ひらめく。

 

 

 

そういう発想遊びをして脳を活性化させていたら、子供の心は強くなるんですよ。意志力がついてきて、どんなものが来ても問題解決する能力が強くなる。投げ出さない力がついてくるんですよね。

 

 

 

びっくりするようなことをする子がいたらその発想とか、それぞれの頑張った成果とか、そういうことをみんなで楽しめるラボ(=ワークショップ)が作れたらいいな~」

 

 

 

季節の行事にしても、宿題の絵や工作にしても、親子だけで取り組むと、その日の状況によっては雑になってしまったり、必要以上にこだわってしまったりすることはありませんか?

 

自分も絵が描けないし、わが子も下手だし、と諦めてしまってはいませんか?

 

 

 

そんな時はワークショップを活用して、お友達やミサミサ先生から刺激を受けるのもいいかもしれません。

ひらめきを探して、自分を引き出そうと頑張るわが子の姿は、親にとっては最高の美。

 

先入観から開放されることで、子育てが豊かな方向に変わっていきそうな気がしました。

 

 

 

 

取材・文/2460194(演出家・2児の親)